研究分担者 |
遠藤 光夫 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60075190)
竹下 公矢 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (40133110)
吉野 邦英 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10134678)
河野 辰幸 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00186115)
永井 鑑 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10251505)
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研究概要 |
これまでに胸腔鏡下食道切除術は6例に施行して,いずれも成功している。そこでさらに低侵襲手術を推進するために,腹腔鏡下胃管再建術の検討をおこなうこととした。まずはじめに動物実験で手技的に可能でありかつ安全であることを確認した後、臨床例に実施した。方法はまず気腹下に,腹腔鏡下Nissen手術や腹腔鏡下アカラシア手術の応用で,異上部の剥離操作をおこなう。つずいて左胃動脈の根部処理やKocherの授動術,Endostaplerを用いた胃管の半切などは,右下腹部から術者の左手を腹空内に挿入して実施した。この腹腔内の左手を利用して,「手のアシストによる腹腔鏡下手術(HALS:Hand-assisted laparoscopic surgery)を実践して行くわけである。HALSを実践していくなかでいくつかの特徴に気が付いた。従来の鏡視下手術では腔内結紮術か腔外結紮術をおこなうが,HALSでは腹空内の左手と体外の右手によって腔内外結紮法が可能である。この場合,両方の手でおこなうために結紮の感触は開腹の場合に近い。また胃の授動については,左胃動脈の根部処理以外はすべてHalmonic scalpelで施行可能なことが判明した。腹腔鏡下胃管作成術の症例は縫合不全を起こしたが、現在は治癒し元気に暮らしている。今後は腹腔鏡下胃管作成術の経験を重ねることと,胸腔鏡下食道切除との組合せで実施することが課題となる。またHALSの経験から,両手を挿入してのDuo-handed controlled surgery(DHCS)の実験的検討を開始している。これは従来の鏡視下手術と異なり新しいジャンルとなる可能性があるもので,長軸鉗子を用いずに,むしろミニチュアの鉗子を用いて手術をおこなうものである。
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