研究課題/領域番号 |
08671433
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 久實 名古屋大学, 医学部, 講師 (60184321)
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研究分担者 |
金子 健一朗 名古屋大学, 医学部, 医員
伊藤 不二男 名古屋大学, 医学部, 医員
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キーワード | 膵管胆管合流異常 / 先天性胆道拡張症 / PCNA / TGFα / AgNOR / 胆嚢癌 / 胆管癌 |
研究概要 |
1.研究目的 ヒトの胆管拡張を伴わない膵胆管合流異常に類似した実験モデルを作製し、膵液の胆管内逆流が胆道上皮に及ぼす影響について検討した。 2.方法 体重3.5〜5.0kgのシャムネコを用い、micro surgeryの手技で膵管と胆管とを側々吻合した(以下モデル群)。術後1年以上を経過した9例を犠牲剖検し、胆嚢ならびに胆管を摘出した後、PCNA(Proliferating Cell Nuclear Antigen)抗体を用いた免疫組織染色とAgNOR染色を行った。さらに、モノクロナール抗体GF10を用いてTGFα(Transforming Growth Factor α)を染色し、上皮細胞の染色強度の程度をスコアリングした。 3.結果 (1)膵液逆流が胆嚢上皮に及ぼす変化 モデル群の胆嚢上皮は対照群に比して粘膜ヒダが著しく増高し絨毛状を呈していた。胆嚢上皮全体でのPCNA標識率はモデル群で27.2±10.9%、対照群で8.3±4.2%であり、AgNOR数はモデル群で5.89±1.17、対照群で3.38±0.77、TGFαscoreはモデル群で1.76±0.40、対照群で0.74±0.38であり、いずれもモデル群で有意に高かった(p<0.01)。 (2)膵液逆流が胆管上皮に及ぼす変化 モデル群の胆管上皮においてはBeale嚢が増加していた。また、9例中4例では胆管腺の著明な発達が認められた。モデル群におけるPCNA陽性細胞の局在は、Beale嚢から胆管腺に繋がる導管部において最も濃く染色され、また、胆管腺も比較的濃く染色された。5例では内腔上皮にも陽性細胞が多数みられた。対照群では総胆管の内腔上皮の陽性細胞は少数であった。
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