喉頭全摘後の移植遊離空腸に関して 遊離空腸内に内圧チューブを挿入し、内圧の変化を測定してみたところ、移植早期より蠕動運動を認めた。移植慢性期(術後6カ月以上経過)のものと比較すると早期の方がより活発な蠕動を示す傾向にあった。移植腸管のワゴスチグミンに対する反応は正常腸管と同様に認め、より過敏に反応する印象を受けた。しかも移植早期の方がより過敏に蠕動を促進させられる傾向にあった。蠕動運動の咽頭からおよび下部食道への連動状態に関しては透視、シンチグラフィーではスムースな通過を示しているにもかかわらず、内圧上は蠕動運動の連動は術後早期には認めなかった。連動に関しては慢性期の症例数を増やして検討していく必要性を感じた。 再建胃管の病態 食道切除後、迷走神経幹切離の状態で引き上げられた胃管に関しては蠕動運動の咽頭から頚部食道、胃管への連動は早期においては認めなかった。胃管内pH測定を24時間pHモニターにより観察したところ、術後早期より、幹迷走神経切離状態であるにもかかわらずpH低値を示したことから胃酸分泌が残存していることが示唆された。 食餌負荷前後の消化管ホルモン、特にガストリンの血中動態を測定したところ蛋白、脂肪、炭水化物を含む食餌に対してガストリンの反応を示し、胃管内のガストリン分泌細胞を介した分泌反応が示唆された。症例中に血中ガストリン高値を示すものを認めたが症例数、観察期間を長くして解析していく必要があると思われた。
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