平成8年度の実験にひき続きラットを用いて以下の実験(同所性小腸移植)をおこなった。 1)Allogeneic (BN-LEWIS)+FK506(0.5mg/kg) (7POD-14POD) a)移植グラフト10cm群 b)移植グラフト30cm群 2)Allogenieic (BN-LEWIS)+FK506(0.1mg/kg) 7POD-14POD) a)移植グラフト10cm群 b)移植グラフト30cm群 3)Allogeneic小腸肝同時移植 (BN-LEWIS)+FK506(0.5mg/kg) アセトアミノフェン吸収試験を移植後3、7、14日に行った。なおアセトアミノフェンの投与は経口とし、投与15分後のセトアミノフェンの末梢血濃度を測定した。また同時に腸管の血流測定をDoppler Flowmeterで行い、病理組織学的検索も行った。その結果FK506は0.5mg/kgで拒絶は完全にcontrolでき、0.1mg/kgではmild acute rejectionを示すことが判明した。これを反映して投与15分後のアセトアミノフェンの末梢血濃度はgroup1)よりgroup2)で低いdataを示した。この変化は異所性小腸移植において得られたdataとほぼ同様であり、病理組織診断よりむしろ鋭敏であった。平成8年度に行ったgroupは7PODまで拒絶をほぼ完全にcontrolでき、その後拒絶がおこる群であるが、上記1)のgroupは7PODまで拒絶が中等度みられ、その後FK506によりrescueされる群を示す。2)のグループは7PODまで拒絶が中等度みられ、その後拒絶が進む群を示す。3)のgroupは臨床例で多い小腸肝同時移植のモデルである。その結果小腸移植において拒絶反応の進行とアセトアミノフェン吸収試験は極めて相関がみられ、病理組織学的変化よりむしろアセトアミノフェン吸収試験が鋭敏に拒絶反応を反映していることが証明された。またアセトアミノフェン吸収試験は同所性小腸移植でも拒絶反応を反映したため、将来臨床応用が期待できる。
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