研究概要 |
(A)進行胃癌の腹膜播腫性転移の診断の確立 漿膜浸潤胃癌を対象に術中洗浄細胞診を行い,通常のPapanicolou染色,免疫組織(CEA,CA19-9,STN)染色にて癌の陽性率を確かめた。現在,23例に細胞診を施行し,8例(34.8%)に細胞診陽性を見た。通常の染色と,免疫組織染色の間に差を認めていない。腹腔洗浄液からのRT-PCR法によるCEAのmRNAの発現は症例の蓄積を行っているところである。 (B)4種の胃癌細胞株(MKN-1,MKN-28,MKN-45,MKN-75)に対するCDDP,5FUの投与法の違いによる抗腫瘍効果とその際の生じる形態変化を核および核小体の変化を中心に観察 (1)CDDPと5FUの併用による抗腫瘍効果:CDDPと5FUを72時間同時投与するとCDDPまたは5FU単独投与よりは有意に高い抗腫瘍効果を示した。しかし,CDDP投与後に5-FUを投与た場合には単独投与よりも抗腫瘍効果の増強はなかった。 (2)MKN-74培養細胞化学療法による形態変化とKi-67の発現:5FU単独で処理した場合には,細胞の形態や核のPI染色性は変化がなかったが,核小体のKi-67染色性は若干減少した。CDDP単独で処理した場合には細胞と核の膨大が認められ、核の断片化(apoptosis?)が見られた。一方,5FUとCDDPの併用により,細胞および核の大きさ,核の断片化やKi-67への染色性は5FU単独処理とCDDP単独処理の効果の中間の所見をとった。 以上の結果からCDDPと5FUの併用は両者の特徴を備えた形態変化が見られる。また,治療効果は投与法の工夫が必要であることがあきらかとなった。さらに,CAFFEINEを加え,細胞障害の研究を進める。
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