研究概要 |
1血液型不適合生体肝移植例における免疫寛容について血液型抗原に対する抗体価の変動を基に検討 血液型不適合生体肝移植ではレシピエント血中の抗ドナー型の抗体の存在が問題であるが、血漿交換により減少させた後に行うと、長期的に抗ドナー型の抗体価は低値を示し、ドナーとレシピエントの間でキメラ状態となることを示す結果を得た。 2.癌細胞培養株における糖鎖抗原の発現強度と接着能の検討 大腸癌細胞のWiDr-Pより限界希釈法にて,シリアルLe^a低発現株,シリアルLe^a高発現株を得た.これらはいずれもシリアルLe^xを変わらずに発現していた. 血管内皮細胞対する接着実験を行うと、低発現株は親株に比べて接着数が約半分に減少し,逆に高発現株は接着数が増加した.すなわち,シリアルLe^aの発現強度と血管内皮細胞に対する接着性の相関が認められた. 3.ヌードマウス経脾肝転移モデルの検討 ヌードマウス経脾肝転移モデルを用いて各癌細胞subcloneを脾臓に注入し,その肝転移能を検討すると糖鎖抗原の発現強度が強く血管内皮細胞によく接着する高発現株は親株と同時に5例中全例が転移した.また,その結節数が,増加していた。一方低発現株は5例が肝転移をしなかった。また,高発現株において,接着阻害の見られた,抗シリアルLe^a抗体と癌細胞を脾臓注入前に約1時間プレインキュベイトすることにより肝転移が阻止され,抗シリアルLe^x抗体では肝転移は阻止されなかった。
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