研究概要 |
125-I,131-I,111-Inを標識した、マウスモノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体A7を人胃癌を移植したヌードマウスに投与し、腫瘍への抗体の経時的集積量、腫瘍血液を計測した。腫瘍血液比は125-Iマウスモノクローナル抗体を使った場合が最も高く、また抗体投与後3日目が最も高い腫瘍血液比を示し、腫瘍への絶対集積量も高いことが判明した。125-Iキメラモノクローナル抗体も腫瘍血液比は高かったが、腫瘍への絶対集積量においてマウスモノクローナル抗体よりやや劣っていた。131-Iを使った場合、マウスモノクローナル抗体もキメラモノクローナル抗体も同様の腫瘍集積パターンを示した。111-Inは抗体の腫瘍への絶対集積量が低かったのでRIGSには不適当であると考えられた。この結果から、RIGSに用いるのは125-Iまたは131-Iを標識したキメラモノクローナル抗体で、抗体投与は手術の前3日に行うのが良い事が判明した。 十分なインフォームドコンセントの後、11例の胃癌患者、大腸癌患者に131-I)標識キメラモノクローナル抗体A7を手術前に投与しRIGSを行った。抗体投与による副作用は認められなかった。原発腫瘍手術中に確認されたのは8例であったが、転移リンパ節は2例に検出されたのみであった。摘出標本の放射活性を見るといずれも周囲組織より3倍以上高かった。転移リンパ節の術中検出率が低かったのは131-Iの持つ特性によると考えられ、したがって今後検出率を高めるには125-Iの使用も含め核種の検討が必要である。
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