研究課題/領域番号 |
08671471
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
糸井 啓純 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80203123)
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研究分担者 |
山岸 久一 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (40128723)
久保 速三 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20225189)
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キーワード | in situ PCR法 / 消化器癌 / 画像解析法 / 腫瘍増殖 |
研究概要 |
本研究では消化器癌として大腸癌のパラフィン包埋組織を用い、解析には従来からの顕微蛍光多重測光法にもとづく複数の蛍光シグナルに対する多重(同時)解析法を用いた。すなわち、核DNA定量とFISH法/in situ PCR法によるシグナル検出を同一検体に対して試み、以下の如くの結果を得た。 1)プロイディ・パターン(正多倍体増殖あるいは異数倍数体増殖)が類似している症例群間においても増殖過程でみられる染色体の数的異常は異なっており、より複雑な増殖動態の差異が示された。このように核DNA量とFISH法のシグナル解析においては一定の評価を得られた。シグナル個々の強度については現状では臨床的意義を見いだしえないが、シグナルが同一部位で重なり合った場合の判定には有効と考えられた。 2)in situ PCR法に関しては初年度(平成8年度)にin situ PCR用のサーマルサイクラ-を導入し、細胞単離塗沫標本で特定の遺伝子領域(p53遺伝子)における標本の前処置、プリマ-の設定、PCR条件の設定、標識法に関する条件を詰めた。 3)in situ PCR法におけるシグナル発現は、in situ PCR法のみでは良好な反応(PCR)が得られた。増幅領域の設定に関しては短い領域の増幅は良好な反応が得られたが、長い領域の増幅ではシグナルを確認できなかった。 4)これまでの解析ではFISH法およびin situ PCR法と核DNA染色の同時解析に関しては安定的な解析には至らなかった。denaturationされたサンプルにおける核DNA染色に問題を残している。 5)本研究の最大の問題点はin situ PCR法を固形腫瘍に応用することである。血液細胞とは異なり、細胞単離法や試薬を細胞核内まで到達させなおかつ留めおくことは、手技上でいまだ最も困難な問題である。今後の更なる解析法の改善の必要性が示唆された。
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