研究概要 |
1,食道癌の詳細な染色体欠失地図を18番染色体まで修了した。 2,共通欠失領域の検出。 (1)5番染色体の長腕5_q31.1に共通欠失領域を見いだした。(2)9番染色体の短腕9_p21と長腕9_q22-24terに共通欠失領域を見いだした。(3)17番染色体の長腕17_q25に共通欠失領域を見いだした。(4)18番染色体の長腕22.1に共通欠失領域を見いだした。 3,共通欠失領域上に存在する遺伝子の解析。 (1)5番染色体の長腕5_q31.1に存在するIRF-1(iterferon reguratory factor-1)の変異を食道癌35例で解析したが、変異はみつからなかった。(2)9番染色体の短腕9_pに存在する_p16/CDKN2遺伝子に生じる変異は希であるものの、Homozygous deletionあるいはhypermethylationによる不活化が半数の食道癌に生じていることを明らかにした。(3)9番染色体の長腕9_q22-24terに存在し、皮膚のBasal cell carcinomaの責任遺伝子であるPTCH遺伝子の変異を解析したが7%にしか見つからなかった。(3)17番染色体の長腕17_q25に共通欠失領域を見いだした、この領域は遺伝性の食道癌の責任遺伝子であるTylosis locusを含んでおり。接着装置であるデスモソームの構成蛋白であるenvoplakin遺伝子が存在し、現在この遺伝子の構造異常の解析を行っている。(4)18番染色体の長腕18_q22に存在する、Samd2,smad4,DCCのそれぞれの遺伝子の変異と欠失を解析したが,欠失はみとめるものの変異は一例にもみられなかった。 4,臨床病理学的因子との関連では9_p21と17_q25の欠失とリンパ節転移との間には有意の相関があった。
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