研究概要 |
膵癌原発巣の癌遺伝子k-rasのexon1,codon12,の点突然変異が高率であることを利用して主に門脈血および末梢血より効率的に同遺伝子変異を検出する方法を探索した。当初変異特異的プライマーを用いたPCR法(検出感度10^<-4>〜10^<-5>)により検出を試みたが、10例の膵癌開腹手術症例の門脈血、末梢血を検索した結果、2症例の門脈血のみより変異を系した。感度の向上を企画して磁性ビーズ付抗サイトケラチン抗体を血液標本に付着させ、磁性カラムをろ過させることにより正常血液細胞(おもに白血球細胞)を除去する方法(MACS)を試みた。MACSと変異特異的PCR法を組み合わせた結果、検出感度2x10^<-6>を得た。この系を用いて5症例の血液検体を検索したところ再現性に乏しく、実験系の信頼度を高めるに至らなかった。そこでPCRを2ステップ法とし変異特異的PCR法をnested PCRとして行うこととしたが、結果は同様であった。以上より変異特異的PCR法は複雑な標本処理後の環境に適合しない可能性があることから制限酵素を用いたPCR-RFLP法に変更した実験系の確立を進めつつある。
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