研究概要 |
形態の異なる大腸腫瘍、隆起型腫瘍と表面型腫瘍の形態形成に関わる因子の検討を継続している。表面型腫瘍は隆起型腫瘍と肉癌形態が違うだけでなく細胞学的な悪性度の高い可能性がある。細胞動態に促進的に働く因子の活性化とそれを抑制的に働く因子のバランスにより腫瘍の形態は決定される可能性がある。我々は、隆起型大腸腫瘍と表面型腫瘍の内、粘膜病変はapoptosisに関連するBcl-2が細胞増殖因子よりも形態形成に強く関わる可能性を示した。これに継続して、癌の特性である侵潤能を示す早期癌である粘膜下侵潤癌を対象に、癌部と周囲腫瘍性粘膜の細胞動態を細胞増殖活性とapoptosisの観点から検討している。細胞動態に関連する因子として最近,cyclinとそれに関連する因子が同定されている。我々も、cyclin D-EとP21、P27の相互作用を検討し、これらの因子が大腸腫瘍の形態形成に関わるか否かを検討している。さらにapoptosisに関連する因子としてBcl-2と競合的に働くBaxの役割を検討している。P53は野性型では細胞動態を抑制的に規制するが、変異型は腫瘍化に関わる重要な因子である。隆起型と表面型の大腸腫瘍の間でのP53の差異を検討することにより細胞動態の異常と、腫瘍化のプロセスを同時に検討可能でありこの検討も継続している。表面型粘膜下浸潤癌の細胞増殖活性、apoptosis、P53の蛋白発現状態、遺伝子型の検索により、形態形成と細胞学的性格に関しての検討を継続している。
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