大腸癌におけるmicosatellite instability(MSI)を検討した。大腸癌家族歴を全く有さない孤発性の進行大腸癌103例の検討により、このような大腸癌においてもMSIは15.7%の頻度で認められることを示した。また大腸癌の存在部位別によるMSIを検討すると、近位大腸においては33%、遠位大腸においては6%の大腸癌においてMSIを認め、さらに近位から遠位になるに従いMSIの陽性率は上昇した。この結果をもとに早期大腸癌におけるMSIを検討した。44例の早期大陽癌を、降起型(28例)と表面型(16例)の形態別に、またそれらの早期癌を近位(19例)と遠位(25例)の部位別に区分してにMSIを検討した。孤発性の早期大腸癌においても11.4%の腫瘍にMSIを認めた。また上記の分類により検討すると、近位大腸において表面型腫瘍と隆起型腫瘍におけるMSIを倹討すると、近位大腸においては表面型腫瘍において有意にMSI陽性率が高かった(44%:0%、p=0.04)以上のMSIを用いた孤発性大腸癌の検討結果から、大腸癌の発生においては、近位大腸癌と遠位大腸癌の発生過程に相違のある可能性があり、また近位早期大腸癌においては表面型腫瘍と隆起型腫瘍の腫瘍形成過程に相違のある可能性が示された。
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