SD雄性ラットを用い、外来神経切離前および切離後(2、4、6、8週)の腸管壁在神経叢(Auerbach神経叢)の変化を観察するため、CGRP、VIP、Galaninの各酵素抗体を用いてABC変法にて免疫組織染色を行った。更にNO合成酵素(NADPH)染色も同時に行った。 【結果】切離前の神経叢は、CGRP、VIP、Galaninのいずれの抗体においても神経叢の編み目構造が明瞭に染色され、神経線維、神経細胞共認めることができた。NADPHにおいても同様の結果であった。外来神経切離後2週目の神経叢においては、CGRP、GalaninおよびNADPHで神経線維、神経細胞の減少あるいは消失を認め、特にCGRPでその変化が著明であった。しかしVIPでは神経線維、神経細胞共切離前に較べて変化はみられなかった。4週目では、CGRP、Galanin、NADPHとも軽度の増加を認め、6週目になると、更に増加し、8週目ではほぼ切離前の状態に近い組織構造になった。VIPに関しては、切離後のいずれの時期においても特に変化はみられなかった。【結語】CGRP、Galanin、NADPHにおいては、切離後6週以降で神経叢の再構築がなされ、腸管の運動機能に影響を与えると考えられる。特にCGRP、Galaninはコリン作動性神経に関与することから腸管の収縮運動は切離後6週以降で回復してくるものと考えられる。
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