研究課題/領域番号 |
08671496
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
山中 若樹 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (90131599)
|
研究分担者 |
佐々木 貞雄 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20104276)
山中 潤一 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90289083)
安井 智明 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10291816)
田中 恒雄 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (80248137)
岡本 英三 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50068425)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
キーワード | 阻血再灌流障害 / 肝移植 / エンドセリン-1 / エンドセリンレセプターアンタゴニスト / 細胞内元素 / 移植肝機能 |
研究概要 |
これまでビーグル犬部分肝阻血モデルを用いて、肝阻血再潅流障害の発生機序にエンドセリン-1(ET-1)が強く関与していること、さらにET-1 receptor antagonist(TAK-044)の阻血前投与が血行再開後の組織酸素分圧、微小循環機能および肝機能の回復に有用であり、形態的にも類洞の収縮、肝細胞の腫大を抑制することが確認された。さらに、ブタ肝移植モデルでは移植肝のリンス液にTAK-044を加えておくと、血行再開後の細胞内(細胞質、ミトコンドリア、核)の元素の変化、すなわちCa、Na、Clの上昇、Kの低下が有意に抑制され、また移植肝機能の回復にもつながることが証明された。今年度においては生体内肝冷潅流モデルとラット肝移植モデルを用いてTAK-044の投与ルートについて経静脈投与とリンス液内投与のいずれが適切であるかを検討した。潅流モデルで検討した薬物動態はTAKの体外流出を伴うリンス液内投与に比べ、投与したTAK全量が体内に留まる静脈投与の方が血清中および肝組織中のTAK濃度は明らかに高くなるが、その一方、血漿ET-1濃度は血清TAK濃度の高い静脈投与の方がup-regulation mechanismにより有意に高値となることが判明した。したがって肝組織中のTAKとET-1濃度比はリンス液内投与の方が高くなり、再潅流障害の要因となっているET-1の作用をETのreceptor blockerであるTAKがより効率的に阻害するものと考えられた。事実、移植後3〜6時間における逸脱酵素の上昇、細胞腫大および類洞の収縮はリンス液内投与の方が静脈投与に比べて有意に抑制され、全身に悪影響を及ぼしかねない血漿ET-1の上昇は逆に静脈投与でより高度であることが明らかとされた。 以上の結果から、肝移植後のグラフト機能の温存にはTAKを再潅流前に静脈投与するよりリンス液内投与する方がより有効であることが結論できた。
|