| 研究概要 |
膵癌を化学予防しうる物質を検索する目的で、ハムスター短期膵発癌モデルにおいて膵管上皮過形成の出現する時期より、被験物質としてαカロチン、βカロチン、パームカロチン、緑茶ポリフェノールを実験終了まで投与し、膵の病理学的検索を行い、被験物質の膵発癌抑制効果を評価した。【材料と方法】6週齢雌シリアンゴールデンハムスターを用い,短期膵発癌モデルに従い、BOP70mg/kg s.c.のイニシエーション後、エチオニン・メチオニンi.p.・BOP20mg/kg s.c.・choline deficient dietより成る促進圧力操作(augmentation pressure)を3回行った。(実験1)実験開始50日目より55日間被験物質を飲水中に混じて投与した。被験物質として0.0025%・0.005%α-カロチン、0.0025%・0.005%β-カロチン、0.01%緑茶ポリフェノール(GTP)、そして複合群として0.0025%α及びβカロチン+0.01%GTPを投与した。実験開始後105日目に膵臓を摘出し,病理組織学的検索を行った。(実験2)実験開始50日目より被験物質を飲水中に混じて45日間投与した。投与した被験物質は0.0002%・0.0025%β-カロチン、0.004%パームカロチン、0.005%・0.05%・0.5%GTP、そして0.004%パームカロチン+0.005%GTPである。実験開始後95日目に膵臓を摘出し,病理組織学的検索を行った。【結果】(実験1)1匹あたりの膵管病変の発生個数は,0.0025%β-カロチン群のみ有意に減少していた。(実験2)1匹あたりの膵管病変の発生個数は,コントロール群に比べ,0.0025%β-カロチン群,0.004%パームカロチン群、0.05%及び0.5%GTP群で有意に減少していた。以上の結果より,β-カロチン,パームカロチン,GTPの膵管癌発生(プログレッション期)に対する抑制効果の可能性が示唆された。
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