研究概要 |
膵癌を予防しうる物質を検索する目的で,6週齢雌シリアンゴールデンハムスターを用いた短期膵発癌モデルにおいて,膵管上皮過形成の出現する時期より,被検物質としてα-カロチン,β-カロチン,パームカロチン,緑茶ポリフェノールを投与した。膵の病理学的検索を行い,被験物質の膵発癌抑制効果を評価すべく,本年は昨年報告した実験結果を数量的に再評価した。 短期膵発癌モデルに従い発癌操作を行った。(実験1)実験開始50日目より55日間,25ppm,50ppm α-カロチン,25ppm,50ppm β-カロチン,100ppm緑茶ポリフェノール(GTP),複合投与群として,225ppm α及びβカロチン+100ppmGTPを飲水中に混じて投与した。1匹あたりの膵管病変の発生個数はコントロール群28.0±3.9に対し,25ppmβ-カロチン群においてのみ14.8±6.6と,有意に減少していた。(実験2)実験開始50日目より45日間2ppm,25ppmβ-カロチン,40ppmパームカロチン,50ppm,500ppm,5000ppm GTP,そして40ppmパームカロチン+50ppm GTPを飲水中に混じ投与した。一匹あたりの膵管病変の発生個数は,コントロール群27.3±6.2に比べ,25ppmβ-カロチン群14.4±5.0,40ppmパームカロチン群17.0±8.3,40ppmパームカロチン+50ppmGTP群で19.4±4.4と有意に減少していた。500ppm及び5000ppmGTP群においてもコントロール群と比較し、有意な減少が認められた。以上も結果より,β-カロチン-ムカロチン,GTPの4.膵管癌発生(プログレッション期)に対する抑制効果の可能性が示唆された。 上記研究のまとめを行い,Pancreasに発表した。
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