(C57BL/6 x A/J)F1マウスにx線を200、400、700あるいは800cGy照射し、その10分前と後および6時間後にネオプテリン(30mg/kg body weight)あるいはPBSを腹腔内に投与した。800cGyのx線照射とPBSの投与を受けたマウスは8から11日後に全例が死亡した。ところがネオプテリンの投与を受けたマウスにおいては、延命効果がみられ、さらに40%のマウスは5か月以上生存することができた。x線照射5日後におけるマウスの胸腺細胞や脾リンパ球は劇的な減少が認められたが、ネオプテリンを投与しておくと、その減少の度合いが線量に比例して有意に低下した。またこれらのマウスの脾リンパ球はin vitroにおいてコンカナバリンAよリポポリサッカライドの刺激に対して、ネオプテリンを投与されたマウスにおいて高い値が得られた。致死量のx線照射を受けたマウスで、ネオプテリンの投与により生存し得たマウスの免疫能を検討した。このマウスの脾リンパ球の数は正常マウスと比較して有意に減少していたが、照射数日後の状態からは数十倍の増加が認められた。このマウスの脾リンパ球を用いてin vitroでコンカナバリンAやリポポリサッカライドで刺激すると、正常マウス並みの反応がみられた。同マウスの脾リンパ球を用いて、アロであるBALB/cマウスに対する反応をリンパ球混合培養で検討したところ、正常マウスと比較してやや弱い反応がみられた。ところが羊の赤血球に対するplaque forming cell(PFC)反応は正常マウスよりもかなり強い反応が認められた。 複数の膵癌の培養株をヌードマウスに移植し、形成される癌腫の血管形成を造影剤を投与する事により観察したところ、癌腫の中に血管新生を伴いながら、あるいは血管新生をほとんど伴わず増殖する株とがあることが明らかとなった。これらの移植株を用いて放射線照射、ネオプテリンの投与、さらに温熱附加の効果を検討中である。
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