昨年まで我々は移植後冠状動脈内膜の硬化病変は内皮細胞のストレス応答の結果であると仮定したが、実験の結果HSP60は移植後冠動脈病変に影響を及ぼさないと考えられ、negative studyとなった。そこで急性期拒絶反応そのものに着眼点を変更し急性期におけるrejectionとNitrotyrosineの関連についてついて検討したので報告する。 Donorとして180-200gのFischerRat、Recipientとして250-280gのLewis Rat(共に8-10週齢)を使用し、Ono-Lindseyらの方法に従い腹腔内に異所性に心移植をおこなった。移植心は血流再開後、0日、1日、3日、7日にを取り出し、HPLC法でNitrotyrosineの発現を観察した。次いで免疫組織化学染色法により蛋白レベルの変化も観察した。また、H-E染色標本にて右室内膜側の心筋拒絶反応をBillinghamらの分類に従ってGrading Score(GS)を検討した。 Nitrotyrosineは1日から7日まで有意に増加しながら誘導された。また、免疫組織化学染色法でもNitrotyrosineは0日から1日後まではいずれの時間おいても心筋に免疫反応が認められず、3、7日後に反応を示した。HE染色ではO日から1日後までは心筋拒絶scoreに有意差はなく、3、7日後に心筋拒絶scoreは有意に上昇していた。
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