研究概要 |
超音波トランジットタイム流量計を用いて全麻下のヒツジ胸管リンパ流を計測記録した。本年度は以下の事項について検討した。 1、胸管内圧と流出部静脈圧の圧格差と流量との関係。 流量計の近傍の胸管に極細針を刺入して、胸管圧、流出部静脈圧、胸管リンパ流を同時に測定し、流出部静脈圧を段階的に上昇させた。胸管圧は流出部静脈圧の変化に鋭敏に反応した。圧測定の部位まで数個の弁が存在するが、圧の伝導を阻害しない。(Experimental Biology 96で発表) 2、胸管リンパ流の周波数解析。 流量計のlow pass filterを通常では0.1Hzに設定して計測するが、今回は10Hzにして計測した。心拍と呼吸の成分を判別するために周波数解析を行った。これによって胸管が独自の拍動を有することが明らかになった。 3、カテコラミンの胸管リンパ流に対する影響。 ショック等でカテコラミンが必要となったとき、それらが胸管流に与える影響を検討した。ノルアドレナリン、イソプロテレノールは胸管流に影響を与えなかったが、ドーパミンは、その流量を増加させた。 4、交感神経刺激の胸管リンパ流に対する影響。 1Hz(10V,2min)の交感神経刺激では胸管流に影響を与えなかったが、4Hz,16Hz(10V,2min)では流量の増加と拍動数の増加を認めた(Experimental Biology 97で発表予定)。
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