研究課題/領域番号 |
08671516
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
斉藤 憲 新潟大学, 医学部, 助手 (40251821)
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研究分担者 |
名村 理 新潟大学, 医学部・附属病院, 医員
諸 久永 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (00251801)
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キーワード | expanded polytetrafluoroethylene人工血管 / modified Blalock-Taussig手術 / ポリディオキサノン吸収性結紮クリップ / 経皮的血管形成術バルーン / 短絡流量制限 / 仮性内膜 |
研究概要 |
実験方法 9頭のビ-グル犬を3頭ずつ3群に分けて行った。 A群;直径5mmのexpanded polytetrafluoroethylene人工血管(以下、ePTFE)を用い左modified Blalock-Taussig(以下、mB-T)手術を行なった。V字型形状のポリディオキサノン吸収性クリップ(以下、クリップ)でePTFEを挟んで狭窄を作成し、短絡流量を制限した。狭窄作成4週後に経皮的血管形成術バルーン(以下、PTAバルーン)で狭窄解除を試み、短絡流量の変化を調べると共に、短絡路造影で狭窄解除前後の狭窄部の形態を比較した。さらに、狭窄解除後8週目に、短絡路造影の後、犠牲死させ人工血管を摘出した。B群;mB-T短絡路造設後は、A群と同様に狭窄を加えるが、4週後に犠牲死させ人工血管を摘出した。C群;mB-T短絡路造設後、短絡路に狭窄を加えることなく閉胸し、12週後に人工血管を摘出し組織学的に検討した。 結果 A群3頭では狭窄作成時、短絡流量はそれぞれ80.0、66.8、78.4%に制限された。4週後の狭窄解除時は、バルーン径7mmのPTAバルーンで拡張術を行うことにより容易にクリップが壊れ、狭窄解除前に比べ短絡流量は54.1、33.2、30.7%増加した。また、短絡路造影では、狭窄はほぼ完全に解除されており、解除後8週目でも再狭窄はなかった。短絡流量の変化と造影所見から、クリップを用いたePTFEに対する狭窄は、バルーン拡張術を併用することにより4週後に狭窄解除に成功し、短絡流量の増加が可能であることが示された。 摘出した人工血管の組織所見では、A群の狭窄部周辺はB群よりも仮性内膜形成過程が進行しているが、C群の中央部より遅れている傾向が見られた。また、A群の狭窄部周辺は肉眼的に仮性内膜肥厚は無いものの、組織学的には、C群よりも仮性内膜が厚い傾向にあった。
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