研究概要 |
【目的】Ca依存性システイン プロテアーゼ{calpain (CL)}は虚血再灌流時のCa-overloadにより心筋内の各種機能蛋白質を分解し心筋細胞障害を引き起こす可能性がある。そこでCLの虚血再灌流障害における役割を2種類の抗CL peptide抗体とcalpain inhibitor (CL-I)を用いて検討した。【方法】rat摘出灌流心にてSt. Thomas液{CL-I (Ac-Leu-Leu-NIe-al ; 10μM)添加群: I (+)群(n=17)、CL-I非添加群: I (-)群(n=15)、非虚血灌流群: N群(n=8)}注入後、常温虚血し逸脱酵素と心機能回復率を測定した。抗CL抗体は抗CLアミノ末端peptide抗体(残存するCL 80Kd subunitを認識)と抗CL活性中心peptide抗体(活性化され分解した51Kd CLを認識)を用いた。灌流終了後、心室をFPLCにて分画しCLの酵素活性とCL抗原性(Western blotting)を測定した。また心室に免疫染色を行った。【結果】CLの酵素活性とCL 80Kd subunitの抗原性はI (-)群が最も低く、51Kd CLの抗原性はI (-)群が最も高かった。51Kd CLに対する染色性はI (-)群の心内膜下心筋細胞で高かった。I (+)群では心機能回復率は良好な回復率(p<0.01 : ANOVA)をCPK, GOT, LDH遊出量は有意な減少(p<0.05)を示した。【結論】虚血再灌流時にCLが活性化され、さらに自らも分解して低分子化した事を示唆した。よって虚血再灌流障害にはCLが関与し、CL-I添加により心筋保護効果が得られた。
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