研究概要 |
1.正常人培養肺動脈血管内皮細胞を用いた、移植肺保存液の至適カリウム濃度検討のための実験系の確立 (1)低カリウム濃度の保存液であるlow-potassium dextran solution(K=4mEq/L)を基本として,カリウム濃度の異なる(K=4,30,60,100mEq/L)保存液を作成。 (2)人肺動脈血管内皮培養細胞(HPAEC : Cascade Corp)をカリウム濃度の異なる各種保存液内に入れ,低温恒温器にて10℃下に3,6,12,24時間保存し、viabilityの評価法としてMTT assayを行なった。 2.MTT assayによる人肺動脈血管内皮培養細胞のviabilityの評価 (1)各種カリウム濃度(K=4,30,60,100mEq/L)におけるMTT assay値(mean±SD)は、3時間値がそれぞれ0.262±0.58,0.198±0.55,0.195±0.64,0.362±0.53に対して,24時間値がそれぞれ0.075±0.019,0.074±0.030,0.098±0.032,0.237±0.061で各種カリウム濃度で24時間値が有意に低下した(P<0.001)。 (2)各種カリウム濃度(K=4,30,60,100mEq/L)のMTTassay24時間値は,それぞれ0.75±0.19,0.074±0.030,0.098±0.032,0.237±0.061でK=100mEq/L群がその他に比し有意に高かった(P<0.001)。 低カリウム濃度の保存液であるlow-potassium dextran solution(K=4mEq/L)を基本としたカリウム濃度の異なる(K=4,30,60,100mEq/L)保存液においては,K=100mEq/Lが最も良好な保存効果を示した。
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