研究概要 |
肺移植におけるドナー不足の解決策の1つとして、心停止後の肺グラフトを用いることが可能か否かを検討している。これまでflush height,magnesium,reperfusion flow rate,initial low flow reperfusion,surfactantなどの効果につき検討してきた。本年は、ex-vivo non-blood reperfusion model(Wistar Rat)を用いて、(1)low Ht(臓器摘出後、体外にてlow Ht血によるグラフト潅流を行った後、移植を行なう方法),(2)high PV pressure(温虚血中に肺静脈圧を高値に保つ方法),(3)NO(NOの発生ならびに消去によるグラフトへの影響),(4)PV heparin flush(肺静脈内をヘパリンにて洗浄する方法)につき検討した。再潅流初期にlow Htとし、引き続きnormal Htとする方法は有効であったが、有意差を得るには至らず、Ht値やlow Ht血の潅流時間などに再検討を要するものと思われた。温虚血中のhigh PV pressureは、心停止直後に施行すればグラフト機能維持に有用であったが、心停止後30分では肺静脈内微小血栓によりその効果を発揮しなかった。NOの効果発現領域は極めて小さかった。再潅流直前のPV flushは、有意に再潅流後のグラフト機能を改善し、安価で有効な方法と思われた。以上、様々な手技の組み合わせにより、心停止後肺グラフトの機能温存が可能と思われた。
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