研究概要 |
1. 凍結保存気管の異種移植片浸潤細胞のCD4,CD8,IgM発現について検討した。 方法:ラット気管およびモルモット気管を-80℃に凍結保存し2週もしくは4週目にラット腹腔内に同系、同種、および異種移植移植し、術後2週目に犠牲死させ、移植片の浸潤細胞を抗CD4,CD8,およびIgM抗体を用いて免疫染色した。 結果:CD4(+)細胞は同系では全くみられず、同種で60%、異種で100%にみられた。CD8(+)細胞は同系で75%、同種で100%、異種で100%にみられた。IgM(+)細胞は同系では全くみられず、同種で40%、異種で100%にみられ凍結保存期間による差はみられなかった。 結論:拒絶反応による線維性肉芽組織による気管の閉塞は異種移植で最も高度であり、液性免疫のみならず細胞性免疫が関与していることが判った。 2. 気管異種移植における免疫寛容の成立の有無について検討した。 方法:ハムスターからF344ラットへの気管・腹腔内移植モデルを作成し、3、5、7、14日めにレシピエントの末梢血を採血し、hypoxanthine phosphoribosyl-transferase geneをprimerとしてPCR法を用いて白血球のmicrochimerismの発現を観察した。免疫抑制剤CsA,FK506,Predonisdoloneを単独および併用投与した。結果:各群とも14日目に気管内腔は完全に閉塞し、ハムスターに特異的なl28bpのbandは生存期間中確認されなかった。結論:ハムスターラット異種気管移植でも拒絶反応による気管の閉塞性病変は出現し、CsA,FK506,Predinisoloneで防止することはできずmicrochimerismは発現しないことが判った。
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