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1996 年度 実績報告書

神経栄養因子の発現よりみた虚血耐性現象の解析

研究課題

研究課題/領域番号 08671566
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

川原 信隆  東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60214673)

キーワード脳虚血 / 虚血耐性 / 神経栄養因子 / 脳由来神経栄養因子 / 脱分極
研究概要

Cortical spreading depression(CSD)は虚血に対する耐性を誘導することが知られている。CSD誘導3日後に、同側の皮質で局所脳虚血による梗塞巣の縮小、また両側の海馬CA1錐体細胞で一過性前脳虚血による虚血性障害の軽減効果が見られる。一方、脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor,BDNF)は種々の侵襲から神経細胞を保護する作用を持つことが報告されている。本研究では、BDNFがこの虚血耐性の機序として関与しているか否か、CSD後のBDNFの発現を調べ検討した。CSDはラット脳表をKClにて1時間刺激して誘導し、対象群ではNaCl溶液を用いた。刺激後、4時間より7日までのmRNAの変化をNorthern boltにて検討すると、同側の皮質にて2相性の変化を示した。最初のpeakは4時間で約8倍の増加を示し、2度めのpeakは3日後で約3倍の増加であった。対側皮質、海馬では有意の変化はなく、また対象群でも大きな変化を認めなかった。mRNAの発現部位を、mRNA in situ hybridizationにて検討したところ、4時間後の上昇は主として皮質表層部が主体であった。24時間後では、これらの変化はほぼ正常化したが、entorhinal cortexではmRNAの上昇が持続していた。3日後の上昇も、4時間後の変化と同様の部位で見られた。emulsion autoradiographyによる検索では、4時間後、3日後ともに比較的大きな細胞で発現が上昇しており、mRNAの上昇は神経細胞による発現がupregulationされたためと考えられた。これらの2相性の変化は、3日後のpeakが同側皮質での耐性獲得の時期に一致しており、BDNFの産生亢進がその機序として示唆された。しかし、CSD後には蛋白代謝の障害が生じることが知られており、これらのmRNAの変化が蛋白レベルでどのように変化しているかを今後検討する必要がある。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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