種々の実験動物において脳間質液や脳脊髄液が直接頚部リンパ節に流入していることが明らかにされ、頚部リンパ節は免疫学的に中枢神経系と密接な関係を持つことが示唆されている。一方、perivascular cellは免疫学的に独立した脳定住性マクロファージであり、脳脊髄液吸収経路におけるscavenging cellとして機能することが動物では見られている。本研究においてはラット移植脳腫瘍モデルを用いて、脳腫瘍移植後の脳、頚部リンパ節および体部リンパ組織における細胞性免疫反応を免疫組織化学およびフローサイトメトリーにより経時的に観察し脳腫瘍免疫における頚部リンパ節の役割について検討した。また、ヒト脳腫瘍組織においてperivascular cellは動物で見られるのと同様な役割を果たすのかどうか検討した。ラットC6神経膠腫細胞をラットの大脳基底核部に定位脳的に移植した。結果、ラットの頚部リンパ節において選択的に、脳腫瘍関連抗原の提示および認識、さらにはCD4およびCD8陽性Tリンパ球の増殖が行なわれ、これらの効果細胞が脳腫瘍内に浸潤すると考えられた。このことより、ラットにおいて頚部リンパ節は中枢神経系の局所リンパ節としての役割を果たし脳腫瘍免疫に深く関与していることが示唆された。ヒト脳腫瘍組織においてperivascular cellは免疫学的にmicrogliaやmacrophageとは独立した細胞群を形成した。さらに、MHC class II upregulationの様式より、ヒトの脳においてもperivascular cellはscavenging cellとして働くことが示唆された。
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