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1996 年度 実績報告書

Spredingにより誘導される脳虚血耐性の分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 08671576
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

石川 正恒  京都大学, 医学研究科, 助教授 (20115786)

キーワード能虚血 / Spreading depression / 虚血耐性
研究概要

[目的]spreading depression(SD)により誘導される、大脳皮質神経細胞の虚血耐性現象のエネルギー代謝的側面の検討を目的とする。
[方法]雄性Wistarラットの一側前頭葉に2M KClを繰り返し与えてSDを誘発し、同側頭頂葉で銀-塩化銀電極を用いて電位変化としてSDを測定した.同様にしてSDを誘発したラットの新鮮凍結脳標本を作製し、そのpHとATPを組織化学的手法(pH:umbelliferone法、ATP:luciferin-luciferase法)により定性的に測定して、経時的な変化を検討した。
[結果]SDは一過性の陰性の電位変化として、2時間で約12回観察された.KClにる刺激後、5分以内に最初のSDが誘発されていたが、pHとATPに変化は認められなかった.刺激後10分では、刺激部を中心にして広く頭頂葉にまでacidosisとATP減少を認めた.これらの変化は皮質に限局しており、pHの変化の方がより広汎であった.30分後になると、acidosisは、その空間的広がり・程度ともに減弱しており、対照的にATP減少はその範囲が拡大していた.60分後の個体では、刺激部にKClによる限局した梗塞巣と、その周囲の局所的なalkalosisが認められたが、それまで広がっていたacidosisは完全に消失していた.ATPも梗塞部に、その枯渇が観察されるのみであった.2時間のSDを誘発したあと24時間生存させた個体では、上記のalkalosisが拡大していたが、遠隔部の変化は認められなかった.
[考察]SDは神経細胞の脱分極であり、これが組織acidosisとATPの消費を伴うことはこれまでにも報告があると、今回の研究では、その空間的局在の経時変化が、より明瞭にとらえられた.ある一定の時間を経過すると、SDの発生にもかかわらず、acidosisとATP減少が見られなくなることが重要と考えられ、これを、直接的に組織acidosisの改善、ATP枯渇の抑制と考えるならば、虚血耐性の機序の一端を担っている可能性もあり興味深いと考えられた.

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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