研究課題/領域番号 |
08671581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大西 丘倫 大阪大学, 医学部, 助手 (70233210)
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研究分担者 |
泉本 修一 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
平賀 章壽 大阪大学, 医学部, 助手 (40243232)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | グリオーマ / 腫瘍浸潤 / 運動 / 脳器官培養 / 浸潤モデル / 神経接着分子 |
研究概要 |
新しいグリオーマ浸潤モデルを開発する目的でラット脳スライスを用いた三次元器官培養を行い、グリオーマ細胞との共培養によりグリオーマ細胞の運動、浸潤の動態を検討した。生後2日の新生仔ラットより大脳を摘出し、厚さ300μmの脳スライスを作成した。スライス培養1週間後、細胞標識蛍光色素PKH2にて標識したC6グリオーマ細胞を脳スライス上面に静置させ共培養した。細胞運動性を検討するためにC6グリオーマ細胞のaggregation cultureを行い、径約60-100μmのスフェロイドを用いて経時的に標識グリオーマ細胞の移動を観察した。一方、浸潤能を評価するために1μl(5x10^4個の細胞含)の細胞浮遊液を用い、脳スライス下面に到達したグリオーマ細胞を測定した。細胞運動においては、グリオーマ運動性因子(GMF)、神経接着因子L1、フィブロネクチン、テネイシンによるグリオーマ細胞運動性への効果を検討した。浸潤においては、L1遺伝子導入細胞を用いて、分泌L1に対するグリオーマ細胞の脳内浸潤能について検討した。グリオーマ細胞は培養大脳切片上を移動し、その運動促進効果はL1が最も強く、GMFが次に強かった。フィブロネクチン、テネイシンは共に、むしろ対照に比べ細胞運動を抑制する傾向がみられた。C6グリオーマ細胞はL1遺伝子導入細胞との共存により対照細胞に比べ、強い脳内浸潤を示した。また、この効果は抗L1抗体の添加により有意に抑制された。今回、確立した培養脳スライスはグリオーマ細胞との共培養が可能であり、in vivoに近い環境の下でのグリオーマ浸潤の動態を研究する上で極めて有用であると考えられた。
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