研究課題/領域番号 |
08671582
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学部, 講師 (00201046)
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研究分担者 |
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
丸野 元彦 大阪大学, 医学部, 助手 (10263287)
甲村 英二 大阪大学, 医学部, 助手 (30225388)
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キーワード | cerebral ischemia / brain edema / osmolyte / magnetic resonance spectroscopy |
研究概要 |
アミノ酸、メチルアミン、ポリオールなどの浸透圧調節分子、いわゆるオスモライトは脳体積の調節にも重要な役割を果たしていると考えられるが、虚血により発生する脳浮腫病態へのオスモライトの関与についてはほとんど知見が得られていない。そこでまず強い脳浮腫を発生する不完全局所脳虚血において脳内オスモライトの変化を明らかにするためラットの中大脳動脈閉塞モデルにおいてその動的変化を^1H核磁気スペクトロスコピー(^1H-MRS)を用いて検討した。また比較のため完全な虚血である断頭虚血モデルにおける脳内オスモライトの変化も同様に検討した。さらに脳組織水分含量を指標として虚血性脳浮腫の進行とオスモライトの変化との関連を検討した。大脳皮質の過塩素酸抽出物の^1H-MRSを解析することにより主要なオスモライトとして6種類のアミノ酸(アラニン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、N-アセチルアスパラギン酸、タウリン)、2種類のメチルアミン(グリセロホスホリルコリン、クレアチン)、1種類のポリオール(ミオイノシトール)の同定ならびに定量を行った。その結果、個々のオスモライトはそれぞれ独自の変化を示したが、その乾燥重量当たりの総和は中大脳動脈閉塞24時間後には虚血側皮質で非虚血側皮質の58.7%と有意に減少した。また脳組織水分含量は閉塞24時間後の虚血側皮質で84.1%(対照群77.9%)と有意に増加した。一方非虚血側皮質および断頭虚血後皮質ではオスモライトおよび脳組織水分含量に有意な変化を認めなかった。以上によりこれら主要なオスモライトは虚血に伴う浮腫の発生時には減少することにより、脳浮腫の進展緩和機構の一翼を担っていることが示唆された。
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