研究課題/領域番号 |
08671584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
近藤 威 神戸大学, 医学部, 助手 (50273769)
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研究分担者 |
玉木 紀彦 神戸大学, 医学部, 教授 (10030941)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 神経幹細胞 / 過誤腫 / レチン酸 / 移植 / アストロサイト / GABA受容体 / アポトーシス / 脳血液関門 / Cryopreservation |
研究概要 |
本研究においては、脳内への細胞移植を目的とした三種類の細胞種につき、基礎的研究を行った。 <神経幹細胞の長期三次元培養> 胎生15-16日のWistar胎児脳より線条体を摘出、cell suspensionとした後EGF存在下にて培養し、1/週の間隔で4回のpassageの後、得られたsphereをさらに2か月間、培地のみを1/週交換することにより、長期培養神経幹細胞を得た。免疫組織学所見としては、GFAP及びNSE陽性細胞は認められなかった。抗BrdU免疫染色では、周辺部にBrdU陽性細胞が多く分布していた。光顕学上、核内に大きな核小体を持つ細胞がsphereの周辺部に密に分布していた電顕では、周辺部に分裂中の細胞が観察された。未分化型の暗調な細胞、顕著な粗面小胞体を持つ明調な細胞、両者の中間型の細胞が認められ、豊富な中間径フィラメントを含む細胞突起も小数ではあるが見い出された。さらに、apoptosis過程の細胞も多数見い出され、中心部では変性細胞や、apoptotic bodyを初め多量の細胞残渣が認められた。現在、より効率に神経細胞を分化誘導できる条件をNT3などの神経栄養因子を用いて検討中である。 <ヒト正常アストロサイトの脳内移植> 転移性脳腫瘍摘出時に得られた白質組織を、培養、10世代以上passageを繰り返した後、すべてヒト特異的抗GFAP抗体陽性であることを確認、またBrdU陽性率は5%以下であった。次に、この細胞浮遊液をラットの線条体に定位的に移植、免疫組織学的に検討した。結果は、宿主脳内の反応性アストロサイトとは、明らかに異なった長いprocessを有した、ヒトアストロサイトの生着が確認された。ヒト胎児脳組織から分化したアストロサイトとは異なり、移植細胞の宿主内遊走は認められなかった。また、移植片近傍では、ヒトアストロサイトが血管腔周囲にprocessを伸長していた。 <ヒトteratocarcinomaの神経細胞への分化誘導> hNTn細胞にNMDA受容体、AMPA/kainate受容体が発見していることは既に報告されているが、GABA受容体発現の証明は本報告が初めてである。神経伝達機構において最も重要な興奮性、抑制性神経伝達物質受容体が当細胞に発現していることは興味深く、移植応用可能なヒト神経細胞として期待が持たれる。現在ラット脳内移植後の機能的評価の研究を継続中である。
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