研究概要 |
シスプラチンアナログであるジアミノ白金とpyridoxic acidとの錯体(以下誘導体と略す)を用い、シスプラチンと抗腫瘍効果を比較し、悪性脳腫瘍の化学療法における誘導体の有用性を検討した。 1、誘導体の分配係数は、シスプラチンより約25%脂溶性を示した。 2、脳腫瘍移植ラットを用い、マイクロダイアリシス法による脳腫瘍部位での透過薬物量の経時変化の検討 脳腫瘍部における経時的なPt濃度の変化のパターンは、誘導体投与群とCDDP投与群とでは異なり、誘導体投与群では、脳腫瘍部での濃度半減期が、CDDP投与群に比べて有意に延長した。一方正常脳部におけるPt濃度は、両薬剤投与群共に、腫瘍部のPt濃度に比べて顕著に低かった。 3、脳腫瘍移植ラットを用いた頚動脈動注法による薬物臓器内分布の検討 2mg/kg投与では、有意差がでなかったが5mg/kgでの頚動脈投与では、各臓器(腎、肝、脾臓)の白金濃度は明らかに誘導体の方が低かった。 なおこれらの結果については、下記の学会において報告した。 第11回日本薬物動態学会(1996.12.6、金沢) 12th Japan Society of Drug deriverry System(1996.9.28,Kyoto) 脳腫瘍株を用いたMTT assay法によるin vitro cytotoxicityの検討、脳腫瘍移植ラットを用いた頚動脈動注法による平均生存日数の検討は現在進行中である。
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