研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS),脳幹の血管障害の症例は意識が清明であるにもかかわらず、発語機能とともに四肢運動機能も著しく障害され、意志の疎通が非常に困難な症例が存在する。それらの症例に対して言語機能を回復させ有意義な生活をおくらせることは社会的に大きな意味を持つ。我々はすでに眼前においたモニター上の指標を見つめることによりえられる誘発脳波から固視点を算出できる視覚誘発脳波処理装置を開発している。本研究では視覚誘発脳波から症例の固視する点を算出する装置の臨床実用に際しての問題点を解決することを目的とする。平成8、9、10年度と、よりよい動作環境のために以下の開発を試みた。 研究期間の前半ではbinary M-sequcnceのための処理用ボード(モニターディスプレイ用ボード、EDI社で作成)を搭載したPower Macintosh用いて、患者の必要とする日本語文字、絵などをモニター上にはりつける作業を行うソフトウエアを改良し、引き続き正常人でテストを行った。日本語環境で、マトリックスを2^4個(4×4=16個)に減らしたものをさらに検討、改良を行った。研究期間後半では主に経皮的に信号を伝達する方法の開発を試みた。硬膜外電極、皮下埋没用送信機(Neuromed製)については引き続き検討中である。赤外線を利用した誘発脳波の経皮的送信法はいまだ臨床実用に耐えうるものは完成していないのが現状である。平行してリチウム電池を使用したシステムも検討中である。 本研究で皮下埋没脳波記録電極が完成されそれが快適に日本語環境で使用できることにより、発語機能を失った症例に対し安全で迅速な会話システムを提供できることになる。
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