研究概要 |
1.ヒトの髄膜腫及び神経膠腫におけるGH-R(growth hormone receptor).IGF-1-R(insulin like growth factor receptor)のmRNAの発現の有無を、RT-PCR法において検索した。 方法: ・既存の論文を参考にしてGH-R,IGF-1-R及びhouse keeping geneである。β2Mに対するprimerを作製した。 ・アイソジェン(Takara)にてmRNAを抽出し、reverse transcriptase(RAV-2,Takara)を用いてcDNAを作製したのち、Taq polymerase(Takara)にてPCRを行った。 ・cycleの条件は35cycle;denature 94℃ 30 s.annealing 55℃ 30 s.extension 72℃ 60sに統一したが、3種類のprimerともに良好な結果が得られた(GeneAmp PCR System 2400,PERKIN ELMER)。 結果: ・house keeping geneである32M mRNAの発現により保存状態が良好と確認された標本に於いて、髄膜腫20例中19例にGH-RのmRNAの発現を認め、16例にIGF-1-RのmRNAの発現を認めた。神経膠腫(良性11例、悪性11例)22例中19例にGH-RのmRNAの発現を認め、20例にIGF-1-RのmRNAの発現を認めた。 ・神経膠腫の悪性度とGH-R、IGH-1-RmRNAの発現には、有意差は見られなかった。 ・今後の課題として、悪性度との相関の判定には、競合的PCRなどによる定量化が必要と考えられた。 2.IGF-1-Rに対する抗体(CALBIOCHEM社)を使用し、ABC法による免疫染色で同タンパクの発現を検索した。 結果:既存のホルマリン同定、ハラフィン包理の標本では、染色は不可能であった。 OCT compound包理後に-80℃保存したsampleを4%PFAにて固定、薄切したものは染色良好で髄膜腫では胞体に明らかな陽性像を得た。神経膠腫も胞体に陽性像を認めている。現在、良好なsampleを集積中である。
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