研究課題/領域番号 |
08671614
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80200484)
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研究分担者 |
佐々木 光 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70245512)
星 道生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00265844)
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
河瀬 斌 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40095592)
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キーワード | 脳腫瘍 / 単純ヘルペスウイルス / 浸潤抑制因子 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
本研究は、遺伝子組み換えにより多遺伝子機能を欠損させた複製型単純ヘルペスウイルス(HSV)G207による抗腫瘍効果に、浸潤に関与するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)の抑制因子であるTIMP-2を組み合わせ、治療効率の向上を試みるものである。G207は、HSV-1のゲノムがらICP6とICP34.5を不活化させたもので、リボヌクレオチド還元酵素を発現する腫瘍細胞でのみ複製増殖し、腫瘍細胞を障害させることがすでに申請者らによって明らかにされている。G207はまた、抗ウイルス剤であるガンシクロビルに対する高感受性と、39度では複製しないという温度感受性を獲得しており、野性型への復帰も無視できる程度に低率のため、臨床応用への安全性も高いことが証明されている。しかし、非常に速い速度で増殖中の腫瘍細胞や、すでにある程度の大きさに達した腫瘍では、ウイルスの複製増殖が腫瘍の増殖に追い付かず、治療効果が十分に得られなかった。そこで、ある種のグリオーマなど、MMPsを過剰発現している腫瘍細胞の浸潤能を抑えることが知られているTIMPs、とりわけ本研究ではTIMP-2を同時に作用させ浸潤を抑制した場合の効果につき検討を行った。本年度は、まずTIMP-2の製剤であるBB94を組み合わせた場合の効果につき、transwell chamberを用いたin vitroの系で検討を行った。Matrigelをコートした膜上層に、ヒト神経膠芽腫の細胞株であるU87-MG細胞を培養した場合(control)、それにG207の感染のみを行った場合、BB94のみを添加した場合、G207感染とBB94添加の両者を組み合わせた場合、の4種類につき、下層への移動細胞数を測定することで細胞の浸潤能、および細胞障害程度を定量化した。その結果、両者を組み合わせた場合が最も治療効果が高まることが確認された。さらに、TIMP-2を発現するプラスミドベースのdefective HSV vectorの作製を行い、それを用いて解析中である。
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