研究課題/領域番号 |
08671615
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
吉田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70166940)
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研究分担者 |
石森 久嗣 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30286489)
近藤 新 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20276273)
島崎 賢二 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00265836)
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キーワード | サイトカイン / ニューロン / アストロサイト / 神経栄養因子 / 細胞接着因子 |
研究概要 |
当教室では、サイトカインにより活性化されたアストロサイトが、脳損傷時の神経機能維持、再生に重要な役割を果たしていると想定し、fibroblast growth factor(FGF)、intetleukin-1β(IL-1β)、tumor necroting factor-α(TNF-α)、epidermal growth factor(EGF)、transforming growth factor-β1(TGF-β1)などの、脳障害の際に供給される各種サイトカインが、アストロサイトによるNGFをはじめとする様々な神経栄養因子の産生もしくは分泌を増強することを明らかにしてきた。 我々はすでに、HGFの膜受容体であるc-Met蛋白が、培養アストロサイトに発現する事を明らかにしたが、本年度はさらに、サイトカインによりc-Metの発現が増強することを明らかにした。 アストロサイトに発現する細胞接着因子であるncural cell adhesion molecule(NCAM)も、神経細胞の移動、神経突起の誘導・伸長などに関与し、神経栄養効果を有している。我々は、TGF-β1がアストロサイトのNCAM発現量を増強することを示したが、本年度は、サイト力インによるNCAMの発現制御や、NCAMのシアル酸による修飾のメカニズムについてさらに検討中である。 アストロサイトに発現する非分泌性蛋白であるbasic FGF等が神経栄養因子として作用するためには細胞外に放出されることが必須であると考えられるが、本年度は、その放出のメカニズムについてさらに検討中である。 我々は、アストロサイト培養上清中には脳幹コリン作動性運動神経細胞のChAT活性を増強する神経栄養因子が存在することを示し、この因子は既存の栄養因子とは異なる新たな生理活性物質であることを明らかにした。本年度は、サイトカインにて刺激したアストロサイト培養上清の目的とする分画を作成中であるが、現在のところ、含有する複数の蛋白の構造決定には至っていない。
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