研究概要 |
(1) Cタイプナトリウム利尿ペプチド(CNP)による細胞体積変化の測定 マウスグリオーマcell line U373はCNP receptorの発現を認めない事が,cGMPのRadioimmunoassay法による測定にて明らかになった。CNP receptor遺伝子(GC-B cDNA)を蛋白発現ベクター(pRcCMV)に組み込み,U373に遺伝子導入し,CNP receptorを多く発現している細胞株を確立した。この細胞に更にGFP発現遺伝子を導入した。対象として,U373にGFP発現遺伝子のみを遺伝子導入した細胞を用いた。10^<-5>M CNPを培養液に添加し,細胞の体積変化をレザー焦点顕微鏡を用いて定量した。CNP receptor発現細胞では,CNP添加後30分にて,添加前の体積の約60%まで減少した。更に60分後には約90%にまで回復した。U373ではCNP添加後も細胞の体積変化は認められなかった。 (2) Cタイプナトリウム利尿ペプチド(CNP)による頭蓋内圧の変化 先天性水頭症ラットHTXの頭蓋内圧は平均3.25torr(SD:0.122)であった。脳室内に生理食塩水を注入すると、その直後、頭蓋内圧は平均5.10torr(SD:0.734:peak pressure)となったが、その後、徐々に頭蓋内圧は下降し、30分後には平均3.20torr(SD:0.179)となった。 一方、CNP投与群の頭蓋内圧はpeak pressureをみた後に急速に下降、30分後には平均2.25torr(SD:0.281)まで下降した。この頭蓋内圧の変化を生理食塩水投与群とCNP投与群で比較すると、両者間に絖計学的有意差を認めた。 以上の実験より,CNPは細胞の体積を縮小せしめ,頭蓋内圧を低下させる働きがある事が明らかになった。
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