研究概要 |
本研究の目的は、Neuro-Endoscope対応のマイクロICPセンサーを用いて,脳室内局所造影剤注入直視下分析及び経時的画像解析によって、これまでに成しえなかった水頭症病態においての頭蓋内局所圧動態及び髄液流動動態を、局所髄液循環路の中で捉え、脳室開放術の適応と術式の検討から、短絡管設置の回避をゴールとした水頭症治療の可能性を評価、検討することにある。 研究方法として本研究に応用されるNeuro-Endoscopeは、以下のごとくである。内視鏡:内視鏡は軟性内視鏡(Sterrable Flexible scope)*を用い内視鏡の先端を舵取り操作(steerable)し、狙いとする脳室内の局所に到達する。 (*特注:直径4mm、作動長38cm、湾曲距離4cm、焦点深度5-50mm、湾曲角度160度/100度、視野角 空気中90度/60度、working channel 1mm経)これに対応するFlexible ICPセンサー(全長65cm、経1mm)をワーキングチャンネルより挿入、脳室内局所圧動態の記録、種々のインデックスを用い数量解析する。 研究対象には、基礎実験として、大動物(piglet,5〜25kg)において,semirigid endoscopeを用いたテント切痕脳槽内カオリン注入の新たな方法としてvertex approachを考案し報告した。臨床例として、各種の閉塞性水頭症(Isolated Unilateral Hydrocephalus,Long-standing Overt Ventriculomegaly in Adultなど)に対して、神経内視鏡下の脳室内形態評価とともに髄液循環路の微細局所頭蓋内圧動態の記録を行い、さらに脳室開放後の圧動態の検索を行った。 結果には、基礎実験においては、20頭のpigletにおいて、大動物カオリン誘発実験水頭症モデルが開発され、本研究の基礎動物実験の基盤を確立した。臨床例においては、各特種水頭症病態の頭蓋内圧動態は、隔離されたコンパートメント内では、独立した動態をもち、脳室開放後には際立った圧波形の変化を伴って正常化に向かうものであることが示唆された。今後、症例の集積と共にこの特殊病態が解明されて行くものと思われる。
|