平成10年度は、RB遺伝子およびp16遺伝子の欠失が認められたU373MG悪性グリオーマ細胞と正常のRBおよびp16遺伝子の発現のみられるU251MG悪性グリオーマ細胞を用いてヌードマウスに移植皮下腫瘍と脳内腫瘍を別々に作製して、モノクローナル抗体結合リポソームに封入されたRBおよびp16遺伝子発現プラスミドをそれぞれヌードマウスの尾静脈より注入し、移植皮下腫瘍群では、腫瘍体積を週2回測定しながら生存期間を観察する。また、移植脳内腫瘍群では、動物用NMR装置で毎週MRIを撮影し、腫瘍の体積を測定しながら生存期間を観察し、さらに^<31>P-MRSも測定する。そして、それぞれ遺伝子注入を行わなかったコントロール群と比較する。このようにして、2種の動物モデルでの治療実験を施行する予定であった。 結果として、移植皮下腫瘍モデルでは、遺伝子注入群の腫瘍増殖効果がコントロール群に比較して有意に認められ、ヌードマウスの生存期間の有意な延長が見られた。しかし、移植脳内腫瘍モデルに関しては、同様なサイズの脳内腫瘍モデルの作製が思うようにいかず、十分な匹数の実験が平成10年度中にはできず、現在も実験を続行中である。
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