研究概要 |
1 脳内の水の拡散係数測定に使用してきたパルス系列を磁気共鳴代謝画像法に応用して、脳内アミノ酸(N-acetyl aspartate)拡散強調画像法を開発した。まず、4.7tesla動物実験用高磁場MRI装置を用いて、ラット脳における磁気共鳴代謝画像および脳内アミノ酸(N-acetyl aspartate)拡散強調画像に成功した。さらに中大脳動脈閉塞による脳虚血モデルにおいて、脳内アミノ酸(N-scetyl aspartate)拡散強調画像で虚血部位のN-scetyl aspartateの拡散係数が低下する傾向にあった。 従来,N-acetyl aspartateは神経細胞内に特異的に存在するとされており、N-acetyl aspartateの拡散係数の低下は神経細胞内の微小環境の変化を示しているものと考えられ、脳内アミノ酸(N-acetyl aspartate)拡散強調画像により神経細胞壊死の早期変化を画像として検出できる可能性が示唆された。 2 さらに、将来の脳内アミノ酸拡散強調画像の臨床応用に向けて、臨床用MRI装置を用いた脳内水拡散強調画像の高速化と日常臨床応用化を行った。本手法を用いて、発症後数時間の急性期脳梗塞巣の検出など脳血管障害急性期の診断における有用性(Ebisu T,et al.Radiology 1997)、脳腫瘍の鑑別診断(Ebisu T,et al.Magnetic Resonance Imaging 1996)や脳梗塞と白質高信号域との鑑別最新の知見を報告した。さらに、異方性を示す正常白質と脳梗塞病巣との鑑別のために、diffusion tensorの対角成分のtrace imageを利用したisotropic diffusion-weighted imageを作成し、診断能を改善した。
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