研究概要 |
人工関節再置換術の際に得られる,弛んだ人工関節の周囲組織を採取して凍結切片を作成した.免疫組織染色によってMacrophage Migration Inhibitory Factor (MIF)を検出した.磨耗粉を貧食したマクロファージが人工関節周囲に存在するして,これらマクロファージにおいて強い染色が確認された.周囲に存在する細胞でも線維芽細胞には染色がみられなかった.摘出した組織からRt-PCR法によってmPNAの検討を行った.MIFのmRNAはコントロールとして用いた正常の滑膜に比してその発現の亢進が認められた.人工関節のゆるみには炎症性のサイトカインとしてinterleukin-1やprostaglandin E2などが原因として考えられているがMIFも何らかの役割を果たしていることが示唆された. in vitroの系ではラットの株化細胞RAW細胞を用いて実験を行った.このマクロファージにparticleを貧食させても形態の変化を伴わなかった.その貧食の増加に伴って,MIFの産生が増加した.このことはMIFのELISAの定量系を用いて行った.recombinant MIFをマクロファージに添加してparticleの貧食能力を検討した.MIFには貧食能力を亢進させる働きがあった.貧食能は,FACscanを用いて定量化した.MIFが貧食におけるautocrine factorである可能性を支持する結果である.
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