研究課題/領域番号 |
08671628
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 考治 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (90235945)
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研究分担者 |
松野 丈夫 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10165847)
西平 順 北海道大学, 医学部, 講師 (30189302)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 人工関節ゆるみ / 液性因子 / マクロファージ遊走阻止因子 / 異物反応 / 骨芽細胞 / 細胞増殖 |
研究概要 |
骨組織は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収がバランスを保ち、その骨量が調節されている(カップリング)。この破錠により過剰な骨吸収や骨形成が生じ、骨は病的状態に陥る。骨粗鬆症による病的骨折などが大きな問題となっている高齢化社会の現在、こうした骨代謝のメカニズムの解明及びその制御は極めて重要である。 病的な骨吸収の一例として人工股関節置換術(THR)後に生じる局所的骨吸収によるゆるみがある。これはTHRの長期成績を悪化させる最も重要な要因であり、ポリエチレン磨耗粉に対する生体の異物反応が原因として推測されている。我々はこの現象におけるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の関与を検討し、以下の結果を得た。1)THRの再置換術時に得られた偽滑膜組織において、ポリエチレン粒子を貪食したマクロファージがMIF陽性であった。2)In-vitroでマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7および蛍光標識ラテックスビーズを用いて実験を行ったところ、マクロファージはビーズの貪食に伴い、濃度依存性にMIFを培養上清中に放出し、またこれはMIFmRNAの上昇を伴っていた。3)同細胞を48時間ラットMIF(10μg/ml)を含む培地で培養した後ビーズを与えたところ、貪食量がコントロールに比べ約1.6倍に増加した。またMIFは現在、炎症反応のmediatorという位置づけの他に、細胞成長因子としての可能性も示唆されている。我々は活発に増殖する骨芽細胞においてMIFの発現を検討し、以下の結果を得た。1)免疫組織学的検討により、マウス頭頂骨由来骨芽細胞・マウス骨芽細胞株MC3T3E1細胞はその細胞質がMIF陽性であり、また生後2日齢マウス頭頂骨の表層に存在する骨芽細胞(ALP染色により確認)もMIF陽性であった。2)前二者の細胞のRT-PCRおよびウエスタンブロット解析により、骨芽細胞においてMIFがmRNAおよびタンパクレベルで発現していた。以上よりMIFの骨芽細胞増殖への関与が示唆された。
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