(1)実験材料には、成熟日本白家兎52羽を使用し、26羽づつ半腱様筋腱群(ST群)と膝蓋腱群(PT群)に分けた。ST群では右STを、他の組織を傷つけることなく周囲組織から剥離し、液体窒素を用いてin situで1分間凍結し細胞を完全に死滅させた。PT群ではPTに対して同様に凍結処理を行った。いづれの群においても左側の腱は正常コントロールとした。0、3、6、12週後に各5羽を屠殺し、万能試験機およびVideo dinesional analyzedを用いて37℃生理食塩水中において力学的特性を計測した。また0、1、2、3、6、12週の時期に各1羽を屠殺し、組織学的観察を行った。 (2)断面積はST群では対control比が3週で240%、6週で350%、12週で300%と増加し、PT群の130%、150%、180%に対して有意に大きかった。 (3)引っ張り強度はPT群で12週まで経時的に低下し続けた。ST群では3週で低下し、PT群よりも有意に低かったが、その後は有意な低下を示さず、12週で上昇を認めた。ST群はPT群より3週では有意に低値を、12週でさ高値を示した。 (4)ST群およびPT群のtangent modulusも類似の変化を示し、ST群はPT群に対して、12週で有意な高値を示した。 (5)推定最大荷重は、各時期ともST群がPT群よりも有意に大きかった。 (6)組織学的観察に関しては両群間に明らかな差を認めなかった。すなわち、ST群およびPT群ともに3週で多数の円形または楕円形の細胞の侵入を認めた。6週では棍棒状の核を有する細胞が増加し、細胞数は減少傾向を示した。12週では核は扁平となりその数は正常に近く減少して、線維方向に配列していた。
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