前年度の実験結果より、再度PLLA製implantの構造・形態の見直しを行い、構造が複雑で肉厚の薄くなるimplantの接合部とscrewを同一材料にて構築することは困難と判断された。したがって、screwとrod接合部を金属とし、構造的に強度を維持しやすいrodをPLLA製にしたhybrid typeのimplantを試作した。12頭の羊腰椎にimplantを使用した前方固定術を完了し、1年以上経過している。術後、4〜6ヶ月経過した検体3頭を屠殺し検討したところ、PLLA rodは、そのほとんどの部分が固定術を実施した時と変わらない形態と固定力を維持しており、骨癒合、組織修復の過程に併せて、生体に吸収されるPLLA製implantの特性が発揮されなかった。力学的強度を脊椎の固定性を維持可能なまで高めると、PLLAの溶解作用を減じることになり、現時点で脊椎への十分な固定力と有効な溶解作用を両立可能なPLLA製implantの作製を完了し得なかった。臨床的には、荷重の作用する部位への応用は実施していないが、移植骨の母床への固定に使用を行っており良好な結果を得ている。
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