研究概要 |
(1)脳卒中患者のリハビリテーション 脳卒中後のリハビリテーション(リハ)過程において,循環系の応答性が改善することを既に報告しているが(体力研究77:122-130,1991),実際の臨床においては,片麻痺の症状が最も頻回に認められるので,下肢エルゴメーター負荷時の,片側/両側駆動の差異について検討した。その結果,負荷量が極端に大きくない場合は,片側下肢駆動でも,直線的負荷に応じた反応が得られるものの,負荷の増大により,リニアリティは低下する傾向が明らかとなった。従って,循環応答等の検討はある程度以下の負荷量で検討すべきであることが判明した。 (2)心筋梗塞患者のリハビリテーション 心筋梗塞後のリハでは,循環生理面の改善にばかり注目が集まっているが,慢性期における再発防止や生活習慣の変更も極めて重要である。我々の検討では,亜急性期(発症1ヶ月以後)に充分な患者教育を行うことが,この目的を達成する上で有効であり,QOL改善に結びつくことが明らかとなった。 (3)重複障害患者のリハビリテーション 脳卒中を併発した腎透析患者については,透析日,非透析日により,除水,電解質バランスの影響が異なり,その日毎の運動療法処方が変更されねばならないことや,家族,医療スタッフの教育が重要であることを明らかにした。また,脳卒中に糖尿病によるインスリン治療を要する症例では,さらに,注射方法の工夫なども必要となることが明らかとなった。
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