研究概要 |
I.ヒト断裂腱板の修復機転の検出 a)in situ hybridization:手術時に得られた30例の腱板断端におけるI型コラーゲンの生成の場をin situ hybridization (oligonucleotide probe : Sandell L Seattle, WA, USAより提供)を用いて検索した。その結果、腱板断端の新生血管のpericyteおよび周辺のfibroblastに旺盛なprocollagen 1(I)のm-RNAの分布がみられた。この結果は1996年10月にAustraliaのPerthで行われた第2回アジア肩関節会議で発表した(Kumagai J et al : Behaviour of the torn rotator cuff)。本発表は英文で投稿中である。この方法は滑膜病変の検索にも応用した。 b)免疫組織化学:上記の結果と免疫組織化学(procollagen 1(I)の単クローン抗体を用いた染色)の結果との比較を行っている。また断裂腱板における他の型のコラーゲンの分布についても単クローン抗体を用いて調査している。 c)Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction (RT-PCR) : Perkin Elmer社のPCR装置とその附属装置を購入した。positive controlとしてヒトおよびウサギの断裂アキレス腱を用いて、procollagen type I、type III probe (Vuorio E, Turku, Finlandより提供)との反応性を調査している。 II.ウサギを用いた実験的研究 現在腱板断裂モデルを家兎の肩関節で作成中である。今後摘出標本での、免疫組織、in situ hybridization、PCRによるコラーゲンの生成の観察を行う予定である。
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