研究概要 |
新潟大学整形外科で加療中の慢性関節リウマチ(以下RA)患者44例で検討した。RA患者の末梢血,膝関節液,滑膜,膝関節近傍の(大腿骨遠位部)骨髄および腸骨骨髄から比重遠心法にてリンパ球を分離(滑膜はコラゲナーゼ処理後),フローサイトメトリーで解析した。臨床所見として罹病期間や炎症所見(血沈,CRPなど)と検討した。 CD57^+T細胞の全T細胞中にしめる割合は健常人の末梢血と比べRAの各部位で有意に高かった。特に関節液と関節近傍骨髄で高かった。 CD57^+T細胞と臨床成績との関係は罹病期間に相関して末梢血で増加していた(r=0.58,p<0.05)。関節液中のCD57^+T細胞の割合は,血沈と逆相関していた(r=-0.50,p<0.05)。有意差はないものの末梢血と血沈とも逆相関の傾向が認められた。 このことから,CD57^+T細胞は破壊関節部に多く存在して炎症を抑える方向に働いていると考えられた(いわゆる善玉)。この結果はマウスコラーゲン関節炎における胸腺外分化T細胞の検討結果とも一致した。CD57^+T細胞が多く発現しているCD8との検討でこの作用はCD57^+T細胞独自のものである可能性が考えられた。 また,腸骨骨髄から骨髄血を採取しそれを培養し,破骨細胞様の多核な巨細胞が誘導されることが確かめられた。現在,この細胞の破骨細胞機能の有無をpit形成能にて検討中である。またこの多核な巨細胞の誘導能とCD57^+T細胞との関連を検討している。
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