(目的) 日本人の基本的なライフスタイルである正座が、変形性膝関節症(膝OA)のリスクとなるか否かを調べる目的で本研究を行った。 (対象および方法) 1)コホート 1965-1985年の期間において延暦寺および西教寺において住職となり、かつ当時滋賀県に在住していた天台宗僧侶を対象コホートとした。 2)対照 滋賀県内において過去に住民検診に参加し、日常生活において正座習慣のない男性を対照とした。 3)調査内容 交絡因子として、膝外傷の既往などのデータを採取し、理学所見を記録した。また膝のX線撮影を行った。 4)膝OAの定義 ACR分類基準、Kellgren-Lawrence(K-L)scaleでgrade2以上の2通りの方法で膝OAを定義した。 (結果) 膝OAの定義をACR分類基準で行っても、K-L scaleで行っても正座は膝OA発症の有意なリスクとはなっていない。この結果は、年齢、身長、体重、膝外傷歴などの交絡因子で補正しても同じであった。
|