研究課題/領域番号 |
08671657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅野 伸彦 大阪大学, 医学部, 助手 (70273620)
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研究分担者 |
松井 稔 大阪大学, 医学部, 助手 (20238950)
増原 建作 大阪大学, 医学部, 講師 (90238915)
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キーワード | 大腿骨頭壊死症 / 微小循環障害 / 血清病 / 免疫複合体 / 動物モデル |
研究概要 |
特発性大腿骨頭壊死症は副腎皮質ステロイドの投与に関連したものが多い。特発性大腿骨頭壊死症の病因病態解明のための実験的研究で、多くの研究者は主として副腎皮質ステロイドをウサギに投与するという動物実験を行って、脂肪塞栓、脂肪細胞の肥大、骨細胞の脂肪変性などの観察をしたが、いずれの報告でも典型的な広範な骨壊死像を観察するにはいたっていない。これらの研究は、ステロイドの慢性的投与ないし蓄積による慢性的な病理学的変化が大腿骨頭壊死症を生じるのではないかというアプローチであった。一方、副腎皮質ステロイド剤が普及する以前には、ステロイド投与暦のないSLE患者に大腿骨頭壊死症が発症したとういう報告が散見される。また、SLEやその他の膠原病、腎臓などの臓器移植患者での大腿骨頭壊死症はステロイド投与開始後半年から1年以内に発生し、1年以後にはステロイド投与が継続されても、大腿骨頭壊死症を発生しないことが報告されている。また、大腿骨頭壊死症は70%以上が両側発生とされるが、片側発生例では、ステロイド投与が継続されても、反対側には大腿骨頭壊死症が発生しないことも報告されている。従ってステロイド関連の大腿骨頭壊死症の発生には、ステロイド投与の背景にある免疫学的異常反応が直接かかわっている可能性がある。そこで、われわれは、馬血清2回静脈内投与によるウサギ血清病モデルで、骨壊死発生の可能性を探り、大腿骨近位骨幹端に骨壊死が発生することを発見し、この骨壊死モデルで大腿骨頭壊死症の予防法を探ってきた。このモデルで免疫学的異常反応を抑制することでの骨壊死発生抑制を検討したが、ステロイドは骨壊死発生頻度を変えず、タクロリムスの骨壊死発生予防効果が示唆された。
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