ウサギ血清病モデルを利用した非外傷性の骨壊死モデルでは、馬血清を3週間の間隔で2回静脈内投与すると、2回目投与後1週から3週で骨髄壊死と骨梁壊死が大腿骨近位骨幹端部を中心に発生する。このモデルに対し骨壊死の病態解明及び早期診断の手段として、Gd-DTPA造影を含むin vivio MRIを施行した。無処置の群(正常コントロール群)及び、2回目馬血清投与後1週群(A群17羽)と3週群(B群13羽)に大腿骨のMRI冠状断像を撮像し、屠殺して大腿骨を摘出し組織学的に検討した。正常コントロール群では、T1強調、T2強調、脂肪抑制T1強調画像で均一な信号を呈し、Gd-DTPA造影効果がなかった大腿骨をnoenhancement patternとした。またGd-DTPA造影後は中心静脈のみ造影される大腿骨をvenousenhancement patternとした。これら2つを正常パターンと定義した。馬血清投与群ではT1強調、T2強調、脂肪抑制T1強調画像で骨幹部のみに部分的異常像を検出できたが(A群24壊死領域中6領域、B群18壊死領域中16領域)、Gd-DTPA造影T1強調及び脂肪抑制T1強調画像では骨端部、骨幹端部、骨幹部すべての壊死領域に造影効果がみとめられ、赤血球の漏出による循環障害が骨壊死発生機序と考えられた。造影MRIでのfocal homogeneous enhancepatternは骨壊死および骨髄壊死の領域と一致していた(A群24壊死領域中22領域、B群18壊死領域中18領域)。造影領域の境界はT1強調よりも脂肪抑制T1強調画像の方が明瞭であった。Gd-DTPA造影脂肪抑制T1強調画像は早期の壊死検出という点で、今回の撮像法の中では最も感度及び特異度が高く、臨床例における早期壊死の検出にも役立つ可能性があると考えられた。
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