(研究方法)平成10年度は、Kienbock病治療のための独自のインプラントを開発し、9年度までに行ってきた、感圧紙、タクタイルセンサーおよびコンピュータシュミレーションでさらに詳しく検討した。すなわち、l)正常手関節、2)月状骨全摘出、3)腱球置換、4)セラミックコア入腱球置換、5)腱被覆セラミックインプラント置換の5モデルについて2次元有限要素法を用いた応力分布の解析と荷重負荷実験による接触圧分布の解析および接触圧測定を行った。 (研究結果)2次元有限要素法では腱被覆セラミックインプラント置換において正常手関節に近い応力の分散が認められたが、月状骨全摘出、腱球置換及びセラミックコア入腱球置換では橈骨舟状骨関節に応力が集中していた。荷重負荷実験では接触圧分布は、腱被覆セラミックインプラント置換ではは橈骨月状骨関節に、感圧紙の濃度増加を認めたが、腱球置換とセラミックコア入腱球置換では濃度増加はわずかであった。Peak Pressureの平均値は、正常手関節、腱被覆セラミックインプラント置換、セラミックコア入腱球置換、腱球置換の順に高く、また腱被覆セラミックインプラント置換において正常手関節に近い変化を認めた。 (考察)2次元有限要素法を用いた応力分布の解析、接触圧分布の解析、接触圧測定の3方法において、いずれも、腱被覆セラミックインプラント置換で正常手関節に近い結果が得られ、充分に荷重負荷に耐えられると判断した。これにより臨床的な応用が可能と考える。
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